JINS Eyewear US, Inc.は、アイウェアブランド 「JINS(ジンズ)」を手掛ける、株式会社 ジンズ(以下、「ジンズ」)の米国拠点である。同社は、「来店から最短 30分でオリジナルのメガネが作れる」手軽さを最大の強みとし、高品質で高機能なメガネを適正価格で提供している。実店舗以外にオンラインストアも展開しており、来店できないお客様はWebで注文することができる。さらに、アメリカでは、メガネを作る際に視力検査の処方箋が必要だが、同社では店舗にて専門医によるオンライン検眼を受けることも可能だ。それゆえ、海外からの観光客が、観光の合間にメガネを新調し持ち帰ることも少なくないという。

  • 米国進出 : 2015年 4月、米国第一号店としてサンフランシスコ店をオープン
  • 実店舗数 : 5店舗(SF Bay Area 2店舗、LA 3店舗)※2019年 11月時点
  • 利用用途 : 従業員評価管理、従業員マスタ管理、レンズ発注管理、文書管理、固定資産管理

 

同社は、米国進出以来 Excelで店舗スタッフの従業員評価を管理してきた。店舗ごとに Excelファイルを用意し、さらにスタッフごとにシートをわけて管理する。事業拡大にともない店舗が増えると、ファイル/シートの数も増え、評価項目の更新作業や管理プロセスに限界を感じるようになっていった。そこで、従業員評価の Excel管理をやめ、Kintoneでの運用に舵をきった。同社が抱えていた課題が Kintoneでどのように改善されたのか、米国進出当初から店舗オペレーションの業務改善とカスタマーサポートのマネージャーを務める、須田真宗氏にお話をうかがった。

 

JINS-image_キントーン_米国法人_利用事例

サンフランシスコの観光名所であるケーブルカーの発着地点近くに店舗を構える

Excel 80シートを手作業で更新する限界と、プロセスの非効率さ

日本から駐在員として赴任している須田氏が担当する業務は多岐に渡る。全米の店舗を管轄し、定期的に店舗に立ち寄っては現地スタッフの声を吸い上げ、業務改善につなげる。また、オンラインストアのカスタマーサポートや、従業員評価の管理/運営も、須田氏が担当する。複数の業務を兼務する須田氏は、「ワンサードプロジェクト(1 年間で業務量を 1/3まで減らすプロジェクト)」という、ジンズが掲げる業務改善の方針を意識して行動するように心がけているという。その考えのもと、限界を感じていた Excelでの従業員評価管理の業務改善に着手することとなった。

 

同社の従業員評価項目は 148項目にもおよぶ。スタッフは、148項目について「知っている」「できる」「人に教えられる」という 3つの軸で、四半期ごとに評価される。148ある評価項目は、人としてできていてほしい初歩的な内容から始まり、終盤に向かうにつれてプロフェッショナルな内容へと難易度を増していく。この 148項目の一覧は、入社時にプリントアウトしてスタッフに配布している。入社したてのスタッフでも、自分のステップアップやお客様を意識した行動ができるように、というのが狙いだ。

 

Kintoneで運用する前は、Excelで従業員評価管理を行っていた。Excelには、評価項目のマスタシートのほかに、スタッフごとに評価シートが分かれて存在していた。当時の運用について、須田氏はこう語る。

 

Suda-sama_01_キントーン_米国法人_利用事例「アメリカ進出直後は、店舗数もスタッフ数も少なかったので Excel管理でも手が回っていました。しかし、店舗が増え、スタッフも何十人ともなると、Excelでの管理に限界を感じてしまって。評価項目を更新するにしても、80人ほどいるスタッフの Excel 80シート分をすべて手作業で更新しなければならず、作業だけで膨大な時間を取られてしまっていました。また、各スタッフの評価が記されている Excelシートは給与に関わる重要な情報なので、計算式がずれていないか全員分念入りに確認する必要があり、神経が磨り減る作業でした。」と、須田氏。

 

さらにこう続ける。

 

「Excelシートの更新作業が完了した後も、アナログな作業がいくつも残っていました。各店舗の店長がスタッフの評価を実施し、各エリアのディストリクトマネージャー(以下、「DM」)が承認するフローなのですが、評価の進捗確認を各店長とメールでやりとりしたり、DMに承認依頼を何度もメールで送ったりと、非効率で手間がかかっていました。全員分の評価が出揃うと、最終的に一つの Excelファイルに集約して HRに連絡するのですが、評価開始から完了まで長期間かかるプロセスになってしまっていて。この一連のプロセスを効率化し、業務改善につなげられないか模索していました。」と、須田氏は当時を振り返る。

 

評価プロセスの工数を 3分の 1以下に削減! ワンサードを実現

同社が、従業員評価管理を Kintoneで検討し始めたのは、2018年 9月のことである。すでに、レンズ発注業務で Kintoneを利用していたため、Excelで管理している業務を Kintoneに置き換えることは可能だと考えていた。そこで、Kintone Corporationに相談を持ち掛けた。まず、業界独自のオペレーションを理解してもらい、業務フローの洗い出しと見直しから一緒に進めた。そして、いくつかの改善パターンをシミュレーションしながら、同社にマッチした最適なシステム構成にたどり着いた。それを実現するには Kintoneにカスタマイズを加える必要があり、2018年 10月に開発に着手、翌月には検証を実施。そして、検討開始から約 3か月で Kintoneへの運用切替が決定した。

 

従業員評価で利用する Kintone アプリは 3つある。

  1.  従業員マスタアプリ (氏名、ID、所属店舗、店舗ごとの最低時給などを管理するアプリ)
  2.  評価項目マスタアプリ(148の評価項目を管理するアプリ)
  3.  従業員評価管理アプリ(148項目に沿って評価チェックを行うアプリ)

 

従業員評価は、店長とスタッフの 1 対 1で、約 1 時間かけて行われる。店長は、従業員評価管理アプリにて、スタッフごとに評価レコードを登録する。

 

まず、従業員評価管理アプリ(Employee Evaluation Management App)にて、このアプリと連携している従業員マスタアプリ(Employee List App)から、該当スタッフの氏名や IDなどを呼び出し、自動で従業員評価管理アプリに反映させる(Lookup機能)。

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次に、評価項目マスタアプリ (Task List App)上で更新された最新の評価項目(Tasks)と、該当スタッフの前回の評価結果を、ワンクリックでレコードに反映させる(※)

※JavaScriptでカスタマイズしたプログラムを適用

JS_demo_キントーン_米国法人_利用事例(イメージ 2

 

これらの準備が整った後、前回の評価結果をベースに 148項目を再度評価し、新たにできるようになった項目を追加チェックしていく。カテゴリごとにすべての項目を達成すると昇給する。昇給の計算は自動で行われるため、計算ミスが発生することがなくなる。

 

評価完了後の承認プロセスは 2段階である。店長が各スタッフの評価レコードを Kintone上で申請すると、DMに承認プロセスが回る。DMが承認をしたら完了となる。Kintoneアプリでは、承認プロセスの進捗が確認できるため、「未申請」「申請済」「未承認」「承認済」のどのステータスなのかが一目瞭然だ。すべての評価が出揃ったら、須田氏が CSVに出力し、HRに提出する。

 

Suda-sama_02_キントーン_米国法人_利用事例

「これまではスタッフ 80人分の Excelシートをすべて更新しなければなかったのですが、Kintoneに移行してからは評価項目マスタアプリを更新するだけでよくなり、1回の作業で済むようになりました。

また、評価の進捗確認や承認依頼をメールで店長や DMとやりとりする必要がなくなり、その手間も省けました。

従業員一人ひとりの給与の計算も、これまでは私が評価結果をもとに手作業で打ち込んできましたが、Kintoneでは自動計算できるので、計算を間違ってはいけないという緊張感からも解放されました。

総合すると、従業員評価管理の一連のプロセスは、 3 分の 1 以下にまで工数削減できています。」と、須田氏は語る。

 

アナログな作業は手間がかかるうえに人的ミスを招きかねない。自動化できる業務はシステムに任せ、アイデア出しや議論など、自動化できない業務に多くの時間を費やす。これこそが、業務改善の理想の姿と言えるだろう。

 

使い込むうちに、他の業務でも使えるアイデアが浮かんでくる

「DMの重要な仕事のひとつに、臨店(店舗を訪問すること)の際に店舗運営が正常に行われているかをチェックする、というタスクがあります。その結果をスコア化することで、店舗ごとに、出来ている点と改善点を見える化しています。

DMはスマートフォンから Kintoneにアクセスし、チェック結果をアプリに登録します。その結果を CSVで出力し、計算式が組まれた Spreadsheetにて別途スコアを作成します。この作業を、店舗ごとに毎週繰り返し行っています。慣れてしまえば 1店舗 5分程度で作成可能ですが、 店舗が増えれば DMの作業もその分増えますし、スコアを間違えて作成すると、店長の評価にも響きます。また、新人の DMに、この作業を一から教える時間と手間も発生します。

そこで、チェック結果登録以降の一連の作業を Kintoneで自動処理できるよう、現在カスタマイズ中です。これにより、DMの作業時間が 0になり、新人 DMへの教育コストも省けるため、実現できる日が待ち遠しいです。

Kintoneは、使いこむうちに、他の業務でも使えそうだというアイデアがいろいろ浮かんできます。ワンサードの方針を意識して、これからも Kintoneで業務改善を進めていきたいです。」

と、須田氏は笑顔で語ってくれた。

 

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メガネの自動加工機ロボット「KANNA(カンナ)」と須田氏

 

同社は、オンラインセールスの Eコマースにも今後注力していく方針だという。オンラインセールスは、開始当初から毎年 20%成長を続けており、店舗に来店できないお客様にも JINSメガネの価値を提供することができる。競合がひしめくなか、メガネのデザインとカスタマーサービスに絶対の自信を持つ同社の勢いは、今後も止まらないだろう。

 

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