DBJ Americas Inc.は、株式会社日本政策投資銀行(以下「DBJ」)のニューヨーク駐在員事務所が現地法人化し、2018年 10月 1日に開業した。同社は、DBJおよびそのグループ会社が米州で行う投融資等業務を対象とした、サポート業務およびアドバイザリー業務、調査・情報発信業務等を行う。

  • 所 在 地:ニューヨーク
  • 稼働アプリ:31 個 

同社は、駐在員事務所の現地法人化に向けて、長年準備を進めてきた。駐在員事務所時代は、日本の本店で導入しているシステムや申請書類を利用しており、特に困ることはなかった。しかし、自社で整備する必要がでてくると、膨大な数の Excelファイルが乱立し、管理コストに頭を悩ませることになった。同社が、Kintone導入後、どのように変わったのか、社内の業務改革および総務担当のコルデラ美那子氏に話をうかがった。

 

事務手続きの非効率さと、データの管理・活用に困っていた

同社が Kintoneの検討を開始したのは、開業後まもなくのことである。現地法人化にあたり、以前よりさらに細かく社内規定を作る必要があった。駐在員事務所時代から引き継いだものもあり、そのほとんどを Excelで管理していた。しかし、規定ごとに Excelが増え続け、蓄積された膨大なデータのなかから目的のデータを探しだすのに時間がかかるようになっていった。

 

同社を一番困らせていたのが、承認を必要とするフォームの管理と承認プロセスだ。報告書や決裁書、各種申請書といった、承認を必要とするフォームも Excelで管理していた。承認が必要な際は、すべて紙で上長に提出、上長が署名・捺印をしてアシスタントがファイリングする、という作業が承認の数だけ発生していた。承認を得るには、申請者も承認者もオフィスにいなければならず、さらにファイリングして保管する手間も加わり、誰もが非効率さを感じていた。

 

DBJ_Cordera-sama_01_キントーン_米国法人_利用事例

「申請書を代理で Excelに下書きした際、依頼主がその場にいれば書類を目視で確認してもらえますが、いなければメールに添付して確認してもらう必要がありました。

また、駐在員事務所時代からのファイルも大量にあり、捨てるに捨てられない状況のなか、さらに Excelや紙が増え続ける悪循環に陥ってしまって。

社内の会話のなかにも、『あのファイルどこいった?』という言葉が聞こえてくることも度重なり、このまま運用を続けるのには限界がきているなと感じていました。」と、コルデラ氏は当時を振り返る。

「そんなとき、Kintoneのセミナーに参加したことがある社員から、業務改善ツールとして教えてもらったのが Kintoneでした。提案ベンダーをとおして話を聞いたところ、抱えている問題が解決でき、新たにやりたいことも叶うことがわかったので、Kintoneの導入を決めました。」

 

フリートライアル期間中に、コルデラ氏みずからアプリの作成と検証に携わり、検討開始からわずか 2か月で契約に至った。

自分でも業務アプリを作れる手軽さが導入を後押し

「Kintoneの初見は、シンプルで自分にもできそうだ、という前向きな印象でした。実際にアプリを作成してみると、ドラッグアンドドロップでアプリが作れるのがおもしろく、操作も簡単でした。自分でいろいろ試していくうちに、ここをこうしたらこうなるんだ、と学びが増えていき、Kintoneの知識もついていきました。」

 

D&D_キントーン_米国法人_利用事例

ドラッグアンドドロップで業務アプリを組み立てていく

 

フリートライアル期間中は、一部メンバーのみで利用し、アクセス権や承認プロセスが機能しているか、本当に業務で使えるかを検証したという。そして、契約後は、「出張申請・報告アプリ」と「決裁用アプリ」の 2つからまずスタートした。

 

使いはじめると、社内から、『この用途でも利用できないか?』という意見が集まりはじめました。業務フローを確認しながらアプリの原型を作り、レビューしてもらいながら修正を加え、本運用できるアプリに仕上げました。活用範囲は次第に広がり、今では 31 個のアプリを運用しています。」

 

システムを導入する場合は、通常、プロジェクトの立ち上げからはじまり、業務フローの見直しと優先順位づけを行う。その後、要件を細かく定義し、開発ベンダーに構築を依頼するプロセスを踏むのが一般的だ。その過程では、開発ベンダーとの間にやりとりが何度も発生するため、本運用まで半年以上かかることもめずらしくない。現地法人化後、社内規定の整備や申請書類の管理を急務としていた同社には、自分たちで業務アプリを作成でき、必要に応じて活用範囲を広げていける Kintoneがうまくマッチしたようだ。

Kintone導入で手間が半減、もう Excelには戻れない

同社のアプリのほとんどが標準機能で作られている。Excelで管理していたころと比べ、具体的にどのような効果があったのだろうか。

 

Cordera-sama_02_キントーン_米国法人_利用事例承認プロセスの効率化が最大の効果です。オフィスにいなければならないコスト、紙をファイリングして保管するコスト、過去の書類を紙のファイルのなかから探すコスト、そのすべてが Kintoneの導入で解決しました。」

同社は、スマートフォンからも Kintoneを利用している。

Kintoneは、Excelと違ってスマートフォンからアクセスできるところも重宝しています。承認者は、場所を問わず、出張先でもスマートフォンから承認作業が行えるので、決裁スピードが上がりました。誰がいつ承認したかの証跡も申請データに紐づいて残るので、コンプライアンス的にも問題ありません。

データが Kintoneに集約されているので、目的のデータを素早く見つけることができます。担当交代の際も、ここさえ見れば引継ぎ完了、というように、引継ぎにかかる時間も短縮しました。

総合すると、Kintoneを導入したことで、手間は半減しました。ここまでくると、もう Excelでの管理には戻れませんね。」と、コルデラ氏は語る。

 

DBJ様_事例_BeforeAfter_キントーン_米国法人_利用事例

導入前と導入後

 

ほかにも、Kintoneの下記の点を評価しているという。

  • アクセス権が細かく設定できる点(データの閲覧・編集・削除制限などを柔軟に設定できる)
  • データを Excelに出力できる点(日本側に報告書を提出するときに便利)
  • 二重登録せずにすむ点アクションボタン機能で、登録済みのデータを自動で再利用できる)

 

お互いの工数を減らすため、関連会社とも Kintoneでつながりたい

最後に、今後 Kintoneで挑戦したいことについて話をうかがった。

 

「Kintone導入当初は、本店に共有するデータを Kintoneから Excelに出力し、加工して PDFファイルで提出していました。そこも課題に感じていたので、本店のメンバーにもアカウントを付与することで、お互いの工数を減らすことに成功しています。アプリ自体にアクセス権を設定し、本店のメンバーが閲覧できる情報をコントロールしました。

これを応用すれば、関連会社や取引先のベンダーとも Kintoneの「ゲストスペース」を利用し、お互いの工数を減らせるのではないかと考えたことがあります。メールのやりとりだと、お互いに情報が分散してしまいますが、Kintoneの中に集約されていれば、会話もスムーズになりますし、こちらのデータを確認してもらうのも楽になると思っています。

われわれの希望だけではどうにもならない話ではありますが、他社とも繋がるシステムとしての可能性を Kintoneは秘めていると期待しています。構想だけにとどまらず、いつかは実現してみたいですね。」と、コルデラ氏は笑顔で語ってくれた。

 

Kintoneのアプリ作成を担当する過程で、細かい設定まで熟知するようになったコルデラ氏。開発ベンダーに頼らずとも、業務改革をシステム側からも支える役割として、同社にとってはなくてはならない存在であることは間違いないだろう。

 
 
 
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