Nishijima Accounting & Tax, LLCは、シカゴ近郊にて約 30 年にわたり日系企業や個人顧客を経理・税務面で支え続ける会計事務所である。同社は顧客の重要な情報を取り扱う上で、情報の一元管理とセキュリティ面を強化すべく、Excel や Word などでの管理から Kintone への移行に踏み切った。Kintone 導入の経緯から今後の展望まで、代表取締役の西嶋節子氏にお話をうかがった。
<課題>個人任せの管理方法に危機感を抱いていた
それまで税務申告書や質問書などの重要書類は、顧客から回答してもらった Excel を担当スタッフが個別に管理していた。そのデータは社内サーバーのフォルダ内で共有はされていたものの、管理がバラバラでどこにどの情報があるか把握しきれず、毎回、確認の手間が発生していた。また、管理の属人化も問題だった。重要書類にパスワードをかけているか、パソコンのデスクトップから削除されているか、など、マニュアルで確認作業をしなければならず、ルールが周知徹底されているかどうかも悩みの種であった。
<導入>求めていたシステムが手の届くコストで実現
なんとかシステム化(自動化)して一元管理したいと考えていた矢先、付き合いのある IT ベンダーより、情報の一元管理が簡単にできるツールとして紹介されたのが Kintone だった。
「大手会計事務所はオンラインで税務申告書の質問書の記入を実施しているのは知っていたのですが、コストが見合わず導入を断念していました。しかし、Kintone の紹介を受けてみると、同等のことが手の届くコストで実現できるだけでなく、重要情報がパソコン内に残らないため、セキュリティ面でも今より強化が見込めることが分かりました。また、自分たちでも項目の追加やフォームのレイアウトを柔軟に変更できる点が、導入を後押しする決め手となりました。」と西嶋氏は語る。
<効果>Kintone の導入がもたらした 5 つのメリット
導入を決定した後、ベースとなるアプリの設計は Kintone Corporation のエンジニアが作成した。そして、細かい部分を現場のスタッフが意見を出し合い、自分たちの業務フローに合わせて、様々な設定を追加していった。
「それまで別々のファイルで管理していた情報が一つのアプリに集約され、欲しい情報へのアクセスが容易になりました。また、誰が見ても何をどこに入力すれば良いか迷うことはなく、入力時のミスやストレスも少なくなりました。一覧画面を見るだけでそれぞれの案件の進捗状況が確認できるので、口頭で担当スタッフに状況を聞きに回る手間も省けています。また、表示させたい情報をワンクリックで切り替えて、様々な切り口でデータを閲覧できる点も気に入っています。」(西嶋氏)
同社は、社内スタッフだけでなく顧客にもアカウントを配布し、顧客自ら Kintone 上で質問書に記入してもらう仕組みを実現した。これには Kintone のアクセス権が有効に働いている。顧客は自分の質問書以外へはアクセスできないため、言わば Kintone はマイページのような存在だ。社内スタッフも、部署によってはアクセス権で閲覧制限をかけるなど、セキュリティ面でも情報の管理は徹底して行っている。
質問書の入力画面
「繁忙期は、1 日に 1 人あたり 30 分は節約できたと思います。それが 5人いれば 1 日に 2.5 時間も無駄を省けるので、効率化にもつながりました。また、オンラインでのアクセスによりお客様の質問書への負担も軽減できるので、長く良い関係を築いていくという意味でも、Kintone は期待できる存在です。」と西嶋氏は評価する。
<今後>運用後も利用範囲の拡大が Kintone には期待できる
同社ではスケジュールの管理や個人専用の To-do 管理も Kintone 上で行っている。最後に西嶋氏から今後の展望をお話いただいた。
「今後は更なるサービス向上のために、便利であることと安全であることの 2 つを軸に、お客様向けの利用拡大を検討していきたいと思っています。また、社内でのコミュニケーションツールやデータの共有・管理促進としても活用範囲を広げていきたいです。Kintone にはそういった部分の可能性も期待していますし、本当に出会えて良かったです。」
今後も更なる活用が期待できそうだ。

About the Author
Hiroko
2006年親会社のサイボウズ入社、営業、営業企画、バックオフィスを経て2017年1月よりKintone Corpの一員に。 Client Support Specialistとしてお客様サポートや営業アシスタントを務める。2児の母。 2人目が生まれてからは在宅勤務で育児と仕事の両立を目指す。